ロキサデュスタット(エベレンゾ®)の特徴、使い方や注意点、作用機序や指導のポイントについて

血液内科薬

【基本情報】
効能・効果 透析施行中の腎性貧血
用法・用量
赤血球造血刺激因子製剤で未治療の場合
開始用量:1回50mg週3回
状態に応じて投与量を適宜増減

最大用量:1回3.0mg/kg

週3回投与の服用するタイミング
2~3日に1回の間隔(例えば月・水・金、又は火・木・土等)で週3回投与

投与開始の目安は
血液透析患者ではヘモグロビン濃度で10g/dL未満、腹膜透析患者ではヘモグロビン濃度で11g/dL未満とする。

Tmax 2.0hr(1.0mg/kg単回投与)
半減期 8.4hr(1.0mg/kg単回投与)

透析による調整 なし
肝機能による調整 あり
食事の影響 ?
併用禁忌薬 なし
禁忌疾患等 あり

エベレンゾ投与量の増減方法

用量調整が必要な場合には、下の投与量増減表、投与量調整表を参考に投与量を増減し、用量調整を行った場合は、少なくとも4週間は同一用量を維持します。

ただ、増量後4週以内にヘモグロビン濃度が急激に上昇(2.0g/dLを超える)した場合、速やかに減量又は休薬することとなっています。

Hb値に基づく投与量増減表

当該週のHb値(g/dL)
4週前から当該週までのHb値変化量
(g/dL)
Hb値<10.510.5≦Hb値≦11.511.5<Hb値≦12.512.5<Hb値
Hb値変化量<-1.01段階増量1段階増量変更なし休薬し、Hb値が
11未満になった時点から
1段階減量して再開
-1.0≦Hb値変化量≦1.01段階増量変更なし1段階減量
1.0<Hb値変化量≦2.0変更なし1段階減量1段階減量
2.0<Hb値変化量1段階減量

投与量調整表

段階12345678
投与量20mg40mg50mg70mg100mg120mg150mg200mg

赤血球造血刺激因子製剤からの切り替え方法

下表を参考に切替え前の赤血球造血刺激因子製剤投与量から本剤の投与量を決定し、切り替える。
開始用量:1回70mgもしくは100mg週3回

切り替え前の赤血球造血刺激因子製剤投与量と切り替え後のエベレンゾ投与量

エリスロポエチン製剤(IU/週)ダルベポエチンアルファ(μg/週)エポエチンベータペゴル(μg/4週)ロキサデュスタット(エベレンゾ)
4500未満20未満100以下70mg/回
4500以上20以上100超100mg/回

飲み忘れた時の対応

・次の服用時間帯と24時間以上間隔があく場合

直ちに1回量を服用します。以後はあらかじめ定めた日に服用してください。日にちをずらす必要はありません。

・次の服用時間帯との間隔が24時間未満である場合

服用せずに、次回分から1回量を服用。同日に2回分を服用したりはしないようにしてください。

一包化は可能か?

確認中

粉砕は可能か?

確認中

【作用機序】

ロキサデュスタットは、転写因子である低酸素誘導因子(HIF:hypoxia inducible factor)の分解に関わるHIF-プロリン水酸化酵素(HIF-PH)を阻害します。それにより、HIF-αの分解が妨げられてHIF経路が活性化し、エリスロポエチンが増加します。

増加したエリスロポエチンによって、赤血球形成が促進されると考えられています。

効果発現時期

考察中

【主な副作用と対策】

胃腸障害(嘔吐、下痢、便秘、悪心、腹部不快感)、リパーゼ増加、血管障害(高血圧)

重大な副作用

血栓塞栓症(3.4%)、脳梗塞(0.7%)、急性心筋梗塞(0.2%)、シャント閉塞(1.6%)等の血栓塞栓症

透析による調整

血液透析患者(12例)に本剤1.0mg/kg又は2.0mg/kgを空腹時に単回経口投与したとき、透析前(透析2.5時間前)投与と透析後投与で本剤の薬物動態に顕著な差はなく、透析の影響はわずかであった。

母集団薬物動態解析の結果、腹膜透析患者と血液透析患者の薬物動態に明確な差はみられなかった

透析の前後、腹膜透析か血液透析かに関わらず、同様に投与できます。

肝機能による調整

中等度以上の肝機能障害(Child-Pugh分類B及びC)のある患者本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察すること。
本剤100mgを中等度の肝機能障害(Child-Pugh分類B)のある患者に単回投与した際、本剤の血漿中非結合型のCmax及びAUCinfが上昇した。また、本剤では重度の肝機能障害のある患者を対象とした臨床試験は実施していない。

肝機能障害がある場合は慎重な投与が望まれます。

食事の影響

確認中

相互作用

CYP2C8、UGT1A9、BCRP、OATP1B1、OAT1及びOAT3の基質であり、BCRPやATP1B1に対して阻害作用があります。

併用禁忌はありませんが、併用注意が多いので気をつける必要があります。

透析患者でよく使われているお薬でオメプラゾールやクレメジン(球形吸着炭)はの薬物動態に対して影響はないとされています。

オメプラゾールの影響がないことから、制酸剤の影響はないと考えていいと思います。

併用注意

・セベラマー塩酸塩(フォスブロック、レナジェル)

・ビキサロマー(キックリン)

・炭酸ランタン水和物(ホスレノール)

併用した場合、エベレンゾの作用が減弱するおそれがあります。

前後1 時間以上間隔をあけてエベレンゾを服用しましょう。

・多価陽イオンを含有する経口薬剤
(カルシウム、鉄、マグネシウム、アルミニウム等を含む製剤)

カルシウム 沈降炭酸カルシウム(炭カル、カルタン)、ポリスチレンスルホン酸カルシウム(アーガメイト、カリメート、カリエード、カリセラム、ミタピラリン)

鉄含有製剤 クエン酸第二鉄水和物(リオナ)、スクロオキシ水酸化鉄 (ピートル)

酸化マグネシウム(マグミット、重カマ、重質酸化マグネシウム、

ジサイクロミン塩酸塩・水酸化アルミニウムゲル・酸化マグネシウム顆粒(コランチル配合顆粒、レスボリックス配合顆粒)

メチオニン・メタケイ酸アルミン酸マグネシウム配合剤散(キャベジンUコーワ)

水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウム液(アシドレス配合内服液、タイメック配合内用液、ディクアノン配合内用液、マグテクト配合内用液、マルファ懸濁用配合顆粒、マーレッジ懸濁用配合DS、マーロックス懸濁用配合顆粒、リタロクス懸濁用配合顆粒)

硫酸マグネシウム

アルミニウム

沈降炭酸カルシウム・コレカルシフェロール・炭酸マグネシウム錠 (デノタス)

これらの多価陽イオンと併用した場合、エベレンゾの作用が減弱するおそれがあるため、併用する場合は、前後1時間以上間隔をあけて服用します。

・HMG-CoA還元酵素阻害剤
シンバスタチン、ロスバスタチン、アトルバスタチン等

エベレンゾのOATP1B1/BCRP阻害作用により、これらの薬剤の血漿中濃度を上昇させ、筋障害を増強するおそれがあります。

・プロベネシド、ゲムフィブロジル
エベレンゾの作用が増強するおそれがあります。

禁忌疾患等

・エベレンゾの成分に対し過敏症の既往歴のある患者

・妊婦又は妊娠している可能性のある女性

妊婦・授乳婦への影響

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。母動物(ラット)への投与で、本剤は胎児に移行し、本剤の最大臨床用量における曝露量の0.4倍の曝露量で出生児の発達遅延、0.8倍の曝露量で出生児生存率の低値等が報告されている

妊婦またはその可能性のある患者には禁忌となっているので注意しましょう。

授乳婦

本剤投与中及び最終投与後28日まで授乳を避けさせること。母動物(ラット)への投与で、本剤は乳汁中に移行し、出生児において乳汁による曝露の影響と考えられる発生毒性が報告されている

授乳はしないほうがよいでしょう。

使用上の注意

・臨床検査結果に及ぼす影響本剤投与によって総コレステロール及びLDLコレステロールが減少する可能性がある

・脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓等の重篤な血栓塞栓症があらわれ、死亡に至るおそれがある。脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓等の合併症及び既往歴の有無等を含めた血栓塞栓症のリスクを評価した上で、本剤の投与の可否を慎重に判断すること。

また、本剤投与中は、患者の状態を十分に観察し、血栓塞栓症が疑われる徴候や症状の発現に注意すること。

・本剤投与開始後及び用量変更後には、ヘモグロビン濃度が目標範囲に到達し、安定するまでは週1回から2週に1回程度ヘモグロビン濃度を確認する。

ヘモグロビン濃度が4週以内に2.0g/dLを超えるような急激な上昇を認めた場合は、減量・休薬等を行います。

・血圧が上昇する場合があるので、血圧の推移に注意しましょう。

・造血には鉄が必要なことから、必要に応じて鉄の補充を行う

・悪性腫瘍を合併する患者

エベレンゾの血管新生亢進作用により悪性腫瘍を増悪させるおそれがある。

・増殖糖尿病網膜症、黄斑浮腫、滲出性加齢黄斑変性症、網膜静脈閉塞症等を合併する患者

エベレンゾの血管新生亢進作用により網膜出血があらわれる可能性がある。

指導のポイント

・用法用量の説明

・妊娠可能な女性には、エベレンゾ投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう説明

タイトルとURLをコピーしました