軟膏の塗り方 ステロイド外用剤

Q薬

ここでは、ステロイド外用剤の塗り方を説明していきます。

アトピー性の皮膚炎、湿疹、火傷、虫刺されなど、さまざまな皮膚症状に使用され、使ったことがある方も多いのではないでしょうか。

ステロイド外用剤の種類はたくさんあり、その作用の強さによってランクがつけられています。

さらに、使用部位ごとに吸収が違うため部位ごとに違う種類のものが出されたりすることもよくあります。必要な期間、適切な量を使用することで、症状を抑えることができるものなので、使い方は守りましょう。

ステロイド外用剤(軟膏、クリーム、ローション)とは

体内で生成されるステロイドホルモンの一つである副腎皮質ホルモンをもとに作られたもので、抗炎症作用、血管収縮作用、免疫抑制作用、細胞増殖抑制作用などをもつ。そして、作用の強さにより5段階にランクが付けられていて、強いものから順にStrongest、Very Strong、Strong、Mild、Weakと分類されている。

ステロイド外用剤の副作用

主な副作用
皮膚が薄くなったり、薄くなることでシワ、すじができる
赤ら顔、皮膚がかさかさになる、にきび
細い血管が浮き出る(毛細血管の拡張と皮膚が薄くなることによる)
皮下出血(ステロイド紫斑といわれる、いわゆる青あざの一つ)
毛深くなる、毛の色が濃くなる
感染し易くなる(とびひ、ヘルペス、水虫など)

使用部位に起こる主な副作用は、例を挙げるだけで上のようにいろいろなものがあり、基本的には長期間の使用により出現する。全身性の副作用は通常はでないとされているけど、大量使用(1ヶ月でストロングのステロイドを300g以上使用など)したばあいは出る可能性もある。正しく使用し、副作用を最小限に抑えることが重要。

薬剤の使用に不安を覚える人も多いとは思うが、自己中断や薬剤の量の自己調整などを勝手に行うことはやめましょう。結果的に症状が悪化し、薬剤量の増量などをまねいてしまう可能性もあるから、指示された使用方法を守ることが副作用を最小限に抑えることにつながるよ。

ステロイドの部位別 吸収の比較

腕の内側を1としたときの部位別の吸収の比較を体の上の方から順に表すと下のようになるよ。

頭3.5倍、頬13倍、首6倍
わきの下3.6倍
背中1.7倍
腕の内側1倍、腕の外側1.1倍
手のひら0.8倍
陰部42倍
足首0.4倍、足の裏0.1倍

一番吸収されにくい足の裏と一番吸収される陰部を比較すると420倍!他にもデリケートな部位や首から上は吸収がいいことが分かるね。

ステロイド外用剤は毛包、皮脂腺からの吸収が多いため、毛の多い頭や顔では吸収がいいんだ。

吸収が亢進する条件

部位ごとの吸収に加えて、吸収が亢進する条件もあるからおさえておこう。
皮膚のバリア機能の未発達(乳幼児)、バリア機能の低下(高齢者)、皮膚の乾燥、びらんや潰瘍のある皮膚など。

ステロイドの塗り方

薄く伸ばし、かすかに光る程度に塗る。塗る際には強く擦り込まないことも大切。擦り込むことが刺激となり、皮膚に悪いため。

使用量の目安

軟膏やクリームの場合は人差し指の第一関節までの長さを1フィンガーチップユニット(FTU)といい、ローションの場合は、1円玉くらいの量が1FTUと同じ量となる。これを用いて使用量の目安を見て行こう。

成人の手のひら約2枚分 1FU
顔と首 2.5FTU
胴体(胸、腹・背中) それぞれ7FTU
片腕3FTU、片手1FTU
片脚6FTU、片足2FTU

だいたいの目安なので、体の大きさに合わせて自分に合う量を見つけるまでの参考にして下さい。

塗る順番

複数の種類ステロイドが出ている場合

弱いものから順に塗る。

基本的には体の上の方から塗っていけばいいかな(陰部は除く)。吸収のいい部分から塗っていっても弱い順番になると思われます。何種類か出た際は順番を確認するようにしましょう。

保湿剤と一緒に塗る場合

保湿剤を先に塗ってからステロイドを塗ることで、正常な部分へのステロイドの塗布を減らすことができるよ。特に指示がない場合は保湿剤が先の方が望ましいと言えるかな。ただ、順番による吸収量の差はなく、効果も差はないとされている。(ラットによるデータ)