蕁麻疹(じんましん)の症状や原因から治療や抗ヒスタミン薬について

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蕁麻疹(じんましん)とは

皮膚の一部にブツブツ(膨疹)や赤み(紅斑)があらわれ、しばらくすると消える病気です。
食品、寒冷刺激や機械的刺激といった特定のことがきっかけとなり現れるタイプのものもありますが、多くの蕁麻疹は何日にもわたって症状が出現。感染症や疲労などが原因となることはありますが、多くの場合は一回一回の症状が直接思い当たる理由無く現れてきます。
多くは夕方から夜にかけて現れ、翌朝ないし翌日の午前中頃には消失し、また夕方から出始めます。
大半は痒みを伴い症状があらわれ、灼熱感を伴うこともあります。数十分から数時間以内に消えるのが普通ですが、半日から1日くらいまで続くものもあります。
皮膚症状には個人差がかなり大きく、症状が激しい場合には次々と新しい皮疹が出没し、全身がかゆく、かきむしってしまうことも。かきむしるとまた広がってミミズ腫れのようになってしまうこともあります。
大きさも様々で、小さな虫刺され程度の1~2mm程度のものから手足全体位のものまであります。膨疹が融合して体表のほとんどが覆われてしまうことも…。形もまた様々で、円形、楕円形、線状、花びら状、地図状などと表現されます。形が円形だからとか、花びら状だからとかいうのは特に意味はありません。
蕁麻疹は他の人にうつることはなく、一部の例外を除いて遺伝することもありません。遺伝する蕁麻疹としては、寒冷蕁麻疹や血管性浮腫の一部が知られています。

急性蕁麻疹と慢性蕁麻疹

ほとんどのものは、急性蕁麻疹といわれ、一度だけ現れるか、繰り返して起きても1ヶ月以内に起こらなくなります。また、原因のはっきりしているものは原因刺激を避けている限り症状は起こらず、刺激に対する過敏性も、時間の経過とともに低くなることが多いといわれています。ただ、何ヶ月、何年と長い年月を要することも。
その一方で、原因のはっきりしない慢性蕁麻疹(毎日繰り返して蕁麻疹の症状が出現するもので、1ヶ月以上経過したもの)の場合は、原因を取り除き症状の出現を避けることができず、数ヶ月から年単位で蕁麻疹の症状が繰り返し起きることもあります。

特徴のある蕁麻疹

コリン性蕁麻疹
入浴や運動などによって体が温まった時や緊張により汗が出る時に現れる蕁麻疹があり、コリン性蕁麻疹と呼ばれています。1~4mm程度の小さなブツブツとした皮疹(膨疹)が特徴です。通常は膨疹の周りに発赤がみられますが、周りが白く抜けたようになることもあります。
大部分のものは出現して30分~1時間以内と短時間で消失することも特徴の一つです。好発年齢は、小児から20歳代が多く、一般的には年を取るにつれて軽くなることが多いようです。

血管性浮腫
赤みが少なく、皮膚の腫れとして出現する蕁麻疹。眼やまぶたに出現することが多いですが、手や足などにも起こることがあります。通常の蕁麻疹が皮膚の表層の血管が反応することで症状が現れているのに対して、血管性浮腫は皮膚の深い部分の血管が反応することで症状が現れるため赤みのない腫れとして症状が出現します。
痒みはありませんが、一度出現すると数日間消えない点も通常の蕁麻疹と異なる特徴です。

蕁麻疹と虫刺されの違い

蕁麻疹は、蚊に刺された時に起こる平ぺったい皮膚の膨らみと赤み、痒みが非常に似ていて、虫刺されなのか、蕁麻疹なのか分からないと思うこともあると思います。

見分ける方法としては、蕁麻疹の特徴である跡形もなく皮疹が消えるかどうかを見ていくのが一番でしょう。虫刺されであれば、しこりのようなものが数日残ったり、表面がジクジクしてきたり、数が増えたりすることがありますが、蕁麻疹はきれいに消えてしまいます。

本当に蕁麻疹?

全身の倦怠感であったり、発熱が続いていたり、関節が痛かったり、皮膚症状(赤み、かゆみなど)以外にも症状がある場合は詳しい検査を行うのがよいでしょう。
皮膚症状のみの場合は、蕁麻疹であれば数ヶ月から数年単位で自然と治ることが多いとされています。
基本的には、皮膚症状のみですぐに蕁麻疹以外の病気じゃないかと疑って受診する必要はないでしょう。ただ、蕁麻疹以外の病気が原因で、蕁麻疹が起こりやすくなっている可能性がないとはいいきれないです。一度詳しい検査をしてもらって、まずは不安要素を取り除くのもいいでしょう。

蕁麻疹がおこる仕組み

皮膚の構造はまず、外側から順番に、薄い角質層、表皮、真皮があり、その下は皮下組織となっています。真皮には蕁麻疹の原因となるヒスタミンなどを蓄えているマスト細胞が存在しています。マスト細胞は刺激を受けると、ヒスタミンなどを放出し、このヒスタミンが皮膚の毛細血管に作用すると、血液成分が血管外へ漏れ出します。こうして、ブツブツや赤み、さらにはミミズ腫れが生じるのです。ヒスタミンが皮膚に存在する神経に作用すると、かゆみが生じます。 これらの発生機序にはアレルギー性と非アレルギー性とがあります。

アレルギー性の蕁麻疹にはいろいろありますが、蕁麻疹の原因として最も良く知られているのは「I型(即時型)アレルギー」と呼ばれる反応です。外からの物質、いわゆる抗原やアレルゲンと呼ばれるアレルギーの原因物質によりマスト細胞が刺激を受けることで蕁麻疹が起こります。

非アレルギー性の蕁麻疹では、マスト細胞がこれとは異なる仕組みで刺激されることにより起こります。物理的なし刺激であったり、精神的な刺激(ストレス)であったり、時には薬剤による刺激であったりします。

蕁麻疹の原因・誘因となるものは何か

蕁麻疹の原因、誘因となるものには実に様々なものがあり、食べ物、薬剤、植物、昆虫、動物、感染症、物理的刺激、発汗、全身性疾患、疲労、ストレスと、細かく言えばきりがありません。
少し細かく言うと下のようになります。
食べものによる原因
サバやアジなどの青魚、エビ、カニ、豚肉、牛肉、鶏肉、牛乳、チーズ、大豆、小麦、ソバなど
野菜や果物でさえ原因となります。食品添加物(人工色素、パラベンなどの防腐剤など)でもあり得ます。この時点で思う方もいるとは思いますが、非常に範囲が広いです。もはやなんでもあり得るのではと思うほどです。
薬剤による原因
抗生物質、解熱鎮痛薬、咳止めなど
植物や昆虫、動物による原因
イラクサ、ゴム、昆虫に刺されたり接触、動物との接触など
イラクサは蕁麻疹の名前の由来とされています。イラクサは蕁麻と呼ばれ、この葉に触れると皮膚症状が起こることから蕁麻疹と言われています。
感染症(寄生虫、真菌、細菌、ウイルス)、物理的刺激(機械的擦過・圧迫、寒冷、日光、温熱、振動など)、全身性疾患(血液疾患、膠原病、血清病など)、疲労、ストレス(身体的なもの、精神的なもの)、運動、発汗。
約70%が原因を突き止めることができない理由も分かりますね。原因や誘因となるものが多すぎます。何週間も続けて毎日のように繰り返して出没する蕁麻疹の場合には、食物が原因となっていることはほとんどありません。いつ、どのような時に、どのような症状が出ているかを細かくメモすることで見えてくるものもあるかもしれません。

蕁麻疹の予防方法・生活での注意点

まずは蕁麻疹の原因や誘因となりうるもので、生活の中で注意することで回避できるものを再確認しながら蕁麻疹を予防するための注意点を考えていきましょう。蕁麻疹は原因や誘因となるものの排除が第一です。

食べ物を見直す

特定の食べ物を食べた後に蕁麻疹はでていませんか?特に蕁麻疹が時折見られる人は、食べた物のチェックをしてみてください。記録しておくことで蕁麻疹の原因を特定できれば、それを食べないことや量を制限することで蕁麻疹の予防につながります。

また、青魚、肉類などはできるだけ新鮮な物をとったり、添加物(色素や防腐剤など)を含むものを控えめにするなどもいいでしょう。

服用中の薬剤のチェック

抗生物質、解熱鎮痛薬、咳止めなど、その他の薬剤でも可能性はあります。服薬後に蕁麻疹が出る場合は薬剤性が疑われます。医師や薬剤師に相談しましょう。薬剤変更や中止可能なのものであれば中止することで蕁麻疹を回避することができるかもしれませんよ。

生活スタイルの見直し

疲労やストレスは蕁麻疹を悪くする原因となりえます。気が付かない間に疲労やストレスを溜め込んでませんか?ある出来事を境目に症状がでたりしてませんか?

入学、引っ越し、転職、昇格、結婚、出産、死別などなど、生活に変化をおよぼライフイベントは思っているよりもストレスになりやすいもの。気分転換や休養をとることを心がけましょう。心当たりがなくても、一度自分を振り返ってみてください。

蕁麻疹の治療

最も優先すべき治療法

原因や悪化している理由は何なのかを探すこと。

そして、それらを取り除くもしくは避けることが一番の治療法です。

とはいえ、原因が何か分からないことも多く、そういった場合は対症療法を行います。

薬物治療(対症療法)

よく使われるのは抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬です。漢方薬、免疫変調薬、ステロイドなどが使用されることもあります。これらはあくまでも対症療法なので、蕁麻疹の症状であるかゆみを抑えたり、皮疹を軽減することはあっても、根本的解決はできません。

原因や悪化の理由を探すことを忘れずに治療を続けましょう。

抗ヒスタミン薬について

蕁麻疹はほとんどの場合、マスト細胞といわれる細胞からヒスタミンが遊離し、そのヒスタミンが血管や神経にはたらくことで、赤くなったり、かゆくなったりします。

このヒスタミンの作用を抑えることで抗ヒスタミン薬は蕁麻疹の症状を抑えます。

副作用には眠気などがでやすいものもありますが、眠気の副作用が非常に少ないものもあります。眠気が強い時は相談してみましょう。

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