SGLT2阻害薬とフルニエ壊疽

疾病と薬物療法

SGLT2阻害薬の使用上の注意項目および、副作用項目にフルニエ壊疽が追記となりました。フルニエ壊疽とはいったいどういった疾患なのでしょうか。

フルニエ壊疽とは

男性の生殖器や会陰部に起こる壊死性軟部組織感染症のことをフルニエ壊疽といいます。壊死性軟部組織感染症とはなんだかあまり聞きなれない言葉のように思いますが、壊死性筋膜炎というと聞いたこともあるのではないでしょうか。

壊死性軟部組織感染症とは、皮膚から筋肉までの軟部組織の壊死性感染症を示し、その中で、筋膜の感染を主座とするものを壊死性筋膜炎といいます。
筋膜を主座とするものが多いので、壊死性軟部組織感染症という言葉よりも壊死性筋膜炎の方が馴染みがあるのかもしれません。

壊死性筋膜炎は非常に致死的な疾患で、死亡率は20~30%ほどあります。早期発見早期治療が欠かせません。

フルニエ壊疽の症状

範囲は陰嚢から始まり、陰茎、会陰部、腹壁に急速に拡大していくことが多く、みためよりも強い痛み、紅斑の範囲よりも広い範囲に浮腫や圧痛、握雪感(ガスが貯まっていることを表す)がみられることもあります。

特徴としては、急速な疼痛範囲の拡大、強い痛み、バイタルサインの乱れがありますが、筋膜が壊死した部分では痛みを感じないこともあります。

Stage1 早期症状
圧痛、紅斑、腫脹、熱感

Stage2 中期症状
水疱、皮膚の波動・硬結

Stage3 後期症状
握雪感、血清水疱、皮膚壊死、皮膚の知覚鈍麻

病状が進むと比較的分かりやすい疾患と考えられますが、予後などを考えると、初期に見つけることが大変重要な疾患です。

リスク因子

HIV、悪性疾患、アルコール依存、栄養不良、外傷、嵌頓包茎、高齢者、ステロイド使用者、糖尿病、長期入院、直腸や肛門周囲感染、尿道周囲への尿溢流など、易感染性や免疫低下状態が大きく関与しているとされています。

起炎菌

腸内細菌や嫌気性菌による混合感染が多く、黄色ブドウ球菌やA群溶連菌のこともある。起炎菌はさまざま。

治療

抗菌剤の投与と外科的デブリドマン

抗菌剤による治療は起炎菌が判明するまではカルバペネム系やピペラシリン・タゾバクタムとクリンダマイシンさらにはバンコマイシン等を選択して、広域かつ数種類の抗菌薬を組み合わせることで、外さない選択をする。

その後、培養結果を参考に、可能であればde-escalationを行う。

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