花粉症について

アレルギー性疾患治療薬

花粉症は自覚症状として目の症状(アレルギー性結膜炎)や鼻の症状(アレルギー性鼻炎)があります。中でもスギ花粉症は国民病と言えるほど増加しています。花粉症の有病率は3割近くあり、国民の4分の1以上がスギ花粉症に悩んでいると言われています。2月から4月のスギ花粉飛散時期にスギ花粉に悩む人も多いのではないでしょいうか。私もその1人です。花粉症の症状がでる時期は外に行くのも億劫になりますよね。

花粉症にまつわる基本的なところからお話ししていきます。

花粉症の症状

花粉症の症状には冒頭でもふれましたが、目の症状(かゆみ、なみだ、充血など)や鼻の症状(くしゃみ、鼻水、鼻詰まりなど)、のどのかゆみ、皮膚のかゆみ、熱っぽい感じなどの症状があります。

花粉症の症状が起こる仕組み

目の症状を引き起こすしくみを例にして説明していきます。

まず、花粉が涙に接することで花粉の中からアレルゲン(抗原)がでてきます。アレルゲンが結膜内に侵入し、それに体を守る免疫細胞である肥満細胞の働きが活発になります。

肥満細胞の働きが活発になるとアレルギー症状を引き起こす物質を大量に放出します。アレルギー症状を引き起こす物質はケミカルメディエーターと言われ、ヒスタミン、ロイコトリエン、血小板活性化因子、プロスタグランジンなどがあります。

これらの物質が神経や血管に作用し、目のかゆみ、充血、目が腫れるといった症状を引き起こします。

同様に、鼻の血管などにケミカルメディエーターが作用すれば、鼻炎症状として鼻水、くしゃみ、鼻閉などの症状として現れるわけです。

主な花粉の飛散時期

花粉症を引き起こす原因となる植物は60種類といわれており、樹木と草花に大きく分けられます。その中でも代表的なものをご紹介していきたいと思います。

樹木
スギ:2月〜4月、ハンノキやヒノキ:3月から5月、シラカンバ:3月〜7月、ブナ:3月〜6月、マツ:4月〜7月、イチョウ:4月〜5月

草花
カモガヤ:5月〜7月、オオアワガエリ:5月〜8月、ブタクサ:8月〜9月、ヨモギやカナムグラ:9月〜10月
*気候などにより花粉飛散時期は異なることがあります

このようにしてみると、ほぼ一年中何かしらの花粉が飛んでいることになります。

ハンノキ、シラカンバ、イネ科花粉症などの人が果物を食べて口の中がはれたり、痒くなったりする口腔アレルギー症候群とよばれるものもあります。

花粉症の症状を抑えるために生活で注意できること

なんといっても花粉を避けること。

花粉情報などで花粉量が多いときの外出は避け、マスクやメガネを着用しましょう。

外出時は帽子やコートを着用し、家に入る前に脱ぐことで花粉を家に持ち込みにくい環境を作りましょう。洗濯物も外に干すのは避け、花粉を家の中に入れないことも重要です。

コンタクトレンズは目を傷つけ、バリア機能低下をまねきアレルゲンの侵入しやすくしてしまう可能性があるので、症状が出ている間だけでも良いので、できるだけコンタクトレンズを外した生活を心がけましょう。ドライアイや目をこするのもバリア機能低下をまねきます。

花粉症の治療

治療には、抗原の除去・回避、薬物療法、アレルゲン免疫療法、手術療法などがあります。
ここでは薬物療法を主に紹介します。

花粉症の薬物療法

薬物療法に使われるお薬には内服薬、貼布薬、点鼻薬、点眼薬、皮下注射など、様々なものがあります。

お薬の作用機序による分類では、抗ヒスタミン薬、ケミカルメディエーター遊離抑制薬、抗ロイコトリエン薬、トロンボキサンA2阻害薬、T2サイトカイン阻害薬、ステロイド薬、血管収縮薬などがあります。

抗ヒスタミン薬

抗ヒスタミン薬には第1世代(古くからあるもの)、第2世代(比較的新しいもの)があります。

第1世代抗ヒスタミン薬は抗ヒスタミン作用だけでなく、抗コリン作用もあるため、抗ヒスタミン作用による眠気に加え、抗コリン作用による口渇、便秘、排尿困難などの副作用が起こる可能性があります。

第一世代抗ヒスタミン薬と比べると、第2世代抗ヒスタミン薬のほうが眠気は弱く、抗コリン作用も少なく、口渇などの副作用が軽減されているのが特徴です。

一般的に抗ヒスタミン薬はアレルギー症状を引き起こすヒスタミンが作用する場所をブロックするので、効果がすぐに出やすいです。

ケミカルメディエーター遊離抑制薬

名前の通り、アレルギー症状を引き起こすケミカルメディエーター(ヒスタミン、ロイコトリエンなど)の遊離を抑えるお薬であり、アレルギー症状がでて、それをすぐに抑えるお薬ではなく、1〜2週間服用することで症状を軽減してくれます。

抗ロイコトリエン薬・トロンボキサンA2阻害薬

鼻詰まり症状を引き起こすと考えられているロイコトリエンなどに作用するため、鼻詰まりに効きます。くしゃみ、鼻水症状に加え、鼻詰まり症状があるときに抗ヒスタミン薬などと併用することで血管収縮薬と同じような効果が期待できます。

T2サイトカイン阻害薬

Th2リンパ球に対して、抗体を作りにくくするお薬です。IgE抗体と言われる抗体を作りにくくする効果があります。

アレルギーを起こす物質である花粉を抗原と呼びます。抗原が体に入ると、Th2リンパ球がその抗原にくっつく抗体を作ります。抗体に抗原がつくとマスト細胞と言われる細胞からヒスタミンなどのケミカルメディエーターが放出されアレルギー症状を引き起こします。

抗体を作りにくくすれば、結果としてアレルギー症状を起こす物質の放出も軽減することができるので症状が和らぐのです。

ステロイド薬

様々な疾患で使用されるお薬です。点鼻薬や内服薬があります。

点鼻薬は鼻水、鼻詰まり、くしゃみに即効性があり、ステロイド薬の副作用はほとんどありません。

内服薬はよく抗ヒスタミン薬と一緒に配合されており、特に症状が強いときの短期間使用されることが多いです。長期間使用すると、ステロイド薬の副作用出現の可能性があるので、短期間にとどめることが望ましいです。

血管収縮薬

鼻詰まりに即効性を示します。使いすぎるとかえって鼻詰まりがひどくなる薬剤性鼻炎の原因となるので、必要時のみ使用しましょう。

アレルゲン免疫療法

唯一の寛解が得られる方法です。ただ、抗原となるものを注射(皮下免疫療法)や舌下(舌下免疫療法)から体に入れるため、ショックなどの副作用が稀に起こります。さらに、2〜3年の継続的な治療が必要となります。

手術療法

鼻詰まりが強い場合に行われる事が多いですが、くしゃみや鼻水にも適応があるものもあります。鼻の粘膜切除、粘膜表面を焼く、鼻水を分泌する腺を刺激する神経を切る手術などさまざまです。

 

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