花粉症での目の痒み、目を掻いちゃいけないのはわかっていても、なかなか我慢するのは難しいものです。
そんな症状を和らげてくれるのが、花粉症に使われる点眼薬ですね。
いろいろな種類がありますが、どのような違いがあるのか説明していきます。
点眼薬にはどのような種類のものがあるか
抗アレルギー点眼薬は大きく分けてケミカルメディエーター遊離抑制薬と抗ヒスタミン薬があります。
目の症状が特に強い場合は抗アレルギー点眼薬に加えて副腎皮質ステロイド(ステロイド)点眼薬を併用します。ステロイドには抗炎症作用はおとりますが、非ステロイド性抗炎症薬が併用されることもあります。
花粉症の飛散時期だけに点眼薬で接触性皮膚炎(かぶれなど)を引き起こすことがあります。アミノグリコシド系抗菌薬(フラジオマイシンなど)や一部の抗アレルギー点眼薬、点眼薬によく使用されているベンザルコニウムなどの防腐剤でも報告があるため注意が必要です。接触性皮膚炎に対してはステロイド眼軟膏、ステロイド点眼薬、抗ヒスタミン薬の併用を行います。
ケミカルメディエーター遊離抑制薬
ケミカルメディエーター遊離抑制薬というのは肥満細胞から放出されるアレルギー症状を引き起こす物質であるケミカルメディエーターの放出を抑えるお薬です。お薬には以下のようなものがあります。お薬の名前は最初に効果を示す成分の名前(ジェネリック医薬品は成分名が製品名です)を書き、( )の中に成分名とは異なる製品の名前を書いています。PF製剤とは防腐剤無添加の点眼薬です。
クロモグリク酸ナトリウム(クロモフェロン、PF製剤あり)
アンレキサノクス(エリックス)→販売中止
ペミロラストカリウム(ペミラストン)
トラニラスト(リザベン、PF製剤あり)
イブジラスト(ケタス)
アシタザノラスト(ゼペリン)
ペミロラストのみ1日2回点眼するお薬で、他のお薬は1日4回点眼です。
抗ヒスタミン薬
抗ヒスタミン薬はアレルギー症状を引き起こす物質であるケミカルメディエーターの一つであるヒスタミンの作用する場所(ヒスタミン受容体)を覆ってヒスタミンが作用しづらくしてくれるお薬。多くはケミカルメディエーター遊離抑制作用も併せ持っています。お薬には以下のようなものがあります。お薬の名前は最初に効果を示す成分の名前(ジェネリック医薬品は成分名が製品名です)を書き、( )の中に成分名とは異なる製品の名前を書いています。PF製剤とは防腐剤無添加の点眼薬です。
ケトチフェンフマル(ザジテン、PF製剤あり)
オロパタジン(パタノール)
エピナスチン(アレジオン、アレジオンLX)
レボカバスチン(リボスチン)
レボカバスチンのみケミカルメディエーター遊離抑制作用がありません。どれも1日4回点眼のお薬ですが、アレジオンLXのみが持効性のお薬で1日2回の点眼です。
ステロイド薬
炎症を鎮めてくれるお薬で、症状が強いときには抗アレルギー薬と併用します。炎症を抑え、腫れ、赤み、かゆみ、痛みを抑えます。お薬には以下のようなものがあります。お薬の名前は最初に効果を示す成分の名前(ジェネリック医薬品は成分名が製品名です)を書き、( )の中に成分名とは異なる製品の名前を書いています。PF製剤とは防腐剤無添加の点眼薬です。
デキサメタゾンメタスルホ安息香酸エステルナトリウム(DEX、サンテゾーン、ビジュアリン)
デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム(オルガドロン、テイカゾン)
フルオロメトロン(フルメトロン)
ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム(サンベタゾン、ベルベゾロン、リノロサール、リンデロン、PF製剤あり)
PF製剤とDEX、サンテゾーン、ビジュアリン、ベルベゾロン、リンデロンにはベンザルコニウム塩化物が使用されていません。
非ステロイド性抗炎症薬
ステロイドには抗炎症作用は劣るものの、長期で使用する場合は白内障や眼圧上昇・感染の合併症がないことがメリットとなります。お薬には以下のようなものがあります。お薬の名前は最初に効果を示す成分の名前(ジェネリック医薬品は成分名が製品名です)を書き、( )の中に成分名とは異なる製品の名前を書いています。
アズレンスルホン酸ナトリウム水和物(AZ、アズレン)
プラノプロフェン(二フラン)
ブロムフェナクナトリウム(ブロナック)
アズレンスルホン酸ナトリウム水和物にはベンザルコニウム塩化物が使用されていません。
花粉症の点眼薬 効果について
ケミカルメディケーター遊離抑制薬と抗ヒスタミン薬の違い
ケミカルメディケーター遊離抑制薬はアレルギー反応が起こることを抑えてくれますが、もう起きてしまったアレルギー反応を抑えるお薬ではありません。数週間使用することで症状の改善が期待できます。既に起きているアレルギー反応を抑えるには抗ヒスタミン薬が効果的で、抗ヒスタミン薬は即効性があります。もちろん、しばらく使用することでの症状改善効果もあります。
抗ヒスタミン薬の強さについて
強さについてよく比較として目にするのが、ヒスタミンH1受容体に対する結合親和性です。受容体に対する結合親和性というのは、よくKi値(親和性定数)で評価されます。Ki値はある薬剤が受容体の半分を抑制するために必要な濃度です。つまり、このKi値が小さければ小さいほど、受容体を抑制する力が強い薬剤と言えます。ただ、それが臨床上どれほど違いとして出てくるかは別ですが、強さの比較の一つとして使われます。
Ki値の比較で言えば、抗ヒスタミン薬はKi値の大きさ順は
オロパタジン>レボカバスチン>エピナスチンとなります。
Ki値で抗ヒスタミン薬の強さを比較すると、Ki値が小さいほど強いと言えるので、
エピナスチン>レボカバスチン>オロパタジンとなり、エピナスチンが強いといえます。
繰り返しになりますが、これが臨床上、症状を抑える効果としてどれくらい変わってくるかと言われると個人差があると思います。どの薬剤も花粉症の症状を抑えてくれますから、一つの目安として考えてください。