舌下のアレルゲン免疫療法(減感作療法)薬の使い方や注意点 

アレルゲン免疫療法や減感作療法という言葉を耳にする方もかなり増えてきたのではないでしょうか。アレルゲンを少しずつ体に入れていくことでアレルギー反応を示していた物質に体を慣らし、アレルギー症状を軽減するお薬があるんです。以前は皮下注射によって行っていましたが、現在ではより安全性の高い舌下免疫療法薬(SLIT)が行われています。

つらいアレルギーの症状が少しでも楽になったら嬉しいですよね。

ただし、舌下免疫療法を受けたい場合はどこの医療機関でも受けられるわけではありません。指定されている講習会と確認テストに合格して登録されている医師のみ処方することができます。

舌下免疫療法はアレルギーの症状を軽減してくれる有望なお薬ではあるけれど、体にとってはアレルギー物質であるものをお薬として体内に入れることになります。そのため、重篤なアレルギー症状であるアナフィラキシーを起こす可能性もあります。
安全のためにそのような副作用に対して十分対応できる必要があり、治療に関してしっかりとした知識をもった医師が処方する必要があるわけです。

どんなにいい薬でも副作用はありますからね。

今ある舌下免疫療法のお薬はスギ花粉症とダニアレルギーの減感作療法に使用する薬剤があるのでそれぞれについて解説していきます。

薬剤の基本情報

スギ花粉症
商品名:シダキュア スギ花粉症舌下錠
効能・効果:スギ花粉症(減感作療法)
用法・用量:投与開始1週間→2,000JAU 1日1回1錠 舌下
2週目以降→5,000JAU 1日1回1錠 舌下

商品名:シダトレン スギ花粉舌下液
効能・効果:スギ花粉症(減感作療法)
用法・用量
1 週目増量期は200JAU/mLボトルを使用
1-2日目 0.2mL 、3-4日目 0.4mL、5日目 0.6mL、6日目 0.8mL、7日目 1 mL
2 週目増量期は2,000JAU/mLボトルを使用
1-2日目 0.2mL 、3-4日目 0.4mL、5日目 0.6mL、6日目 0.8mL、7日目 1 mL
維持期(3週目以降)2,000JAU/mLパックの全量(1mL)を1日1回舌下滴下

ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎
商品名:ミティキュア ダニ舌下錠
効能・効果:ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎に対する減感作療法
用法・用量:投与開始後1週間 3,300JAU 1日1回1錠 舌下
投与2週目以降 10,000JAU 1日1回1錠 舌下

商品名:アシテア ダニ舌下錠
効能・効果:ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎に対する減感作療法
用法・用量:1回1日1回100単位から開始、1回100単位ずつ増量し、300 単位まで増量する。漸増期間は原則として 3 日間。患者の状態に応じて適宜延長する。

全ての薬剤においてアナフィラキシーなどの発現の恐れがあることから、初回投与時は医師の監督のもと、少なくとも30分間は安静な状態で十分な観察を行うこととされています。また、ショックやアナフィラキシーなどの発現時に救急処置の取れる準備をしておく必要があります。

初回投与じは時間に余裕をもって病院に行く必要があります。病院によって違うかもしれませんが、初回のお薬だけ出しておいて、別の日に再受診して開始ということもあるでしょう。

<SLIT(舌下免疫療法)とは何の略か?>
Sublingual immunotherapyの略です。
<JAUとアシテアの単位とは?>JAU は日本アレルギー学会により設定された国内のアレルゲン活性単位です。JAUが多いほどアレルゲンも高いと考えられる。
アシテアダニ舌下錠100単位は19000JAUに相当します。

服用方法と注意点

舌下錠は舌下に1分間保持した後に飲み込み、舌下液は舌下に2分間保持した後に飲み込みます。どちらも舌下に保持して飲み込んだ後、5分間はうがいや飲食をしないようにしましょう。

また、服用前後2時間程度は激しい運動やアルコール摂取、入浴などは避けましょう。

~花粉飛散期の過ごし方~
アレルゲンを回避する生活を心がけましょう。舌下免疫療法中ももちろん回避が基本です。花粉情報の収集をし、外出を避け、外出時はマスクや眼鏡、服装は花粉が付きにくいつるつるとした物を着用します。
帰宅時には部屋に入る前に洋服や髪の花粉を払い、帰宅後は洗顔、鼻をかむことで家の中への花粉の持ち込みを減らすことができます。洗濯物は外に干さずに室内干しし、部屋の掃除もしっかりと行うことが大切です。

舌下に保持できずに飲み込んでしまった時

服用開始して慣れないうちはなかなか舌下に保つのが難しいこともあると思います。決められた時間舌下に保持できずに飲み込んでしまった時は、その日に再度服用せずに、翌日改めて前日と同じ用量を服用しましょう。

飲み忘れた時はどうする?

その日のうちに気づいた場合はその日の用量を服用しましょう。翌日に気づいた場合は前日の用量を服用します。

効果出現までの期間とどれくらい飲み続けるのか

効果出現までには数ヶ月間かかるとされ、年単位での使用でさらに効果が高まっていくと考えられています。どれくらいの期間飲み続けるのかは医師の判断に委ねられますが、3~5年の服用をWHOは推奨しています。短期的に服用するのではなく、年単位で服用することで治療終了後も長期にわたって効果が持続することが期待できます。

禁忌疾患は

少量から開始するとはいえ、アレルゲンの投与となるため、喘息発作を誘発する恐れあり。重症の気管支喘息患者は禁忌となっています。

併用禁忌薬

飲み合わせの悪い薬剤はありません。

シダキュアとミティキュアなど2種類のアレルゲン舌下療法薬の併用に関して 服用方法はどうする?

併用禁忌薬でお伝えしたように、アレルゲン舌下療法薬の飲み合わせの悪い薬剤はありませんが、シダキュアやシダトレンとミティキュアなど2種類のアレルゲン舌下療法薬を併用する場合は注意が必要でしょう。

現在、アレルゲン舌下免疫療法薬の併用に関する知見はまだ少なく、どちらか片方から開始し、その薬剤になれてくるまで(1ヶ月程度など)様子を見た後に併用を開始する流れがあるようです。

また、併用する際の服用方法もさまざまです。

一般的にはアレルゲン量の多いダニの舌下免疫療法薬の方が副作用が多いため、スギ花粉症の舌下免疫療法薬を先に投与し、5分間隔を開けてダニの舌下免疫療法薬を使用する投与法や、順番は拘らずにどちらか片方の薬を舌下に入れて1分間つばをため、飲み込みこんだ後に2剤目の薬を舌下に入れて、1分間つばをため飲み込み飲み込む方法など様々な流派のようなものがあるようです。

さらに、併用を開始してからしばらくは服用するタイミングも朝と昼、朝と夕、朝と夜など間隔をあけて使用して様子を見る先生もいたりと投与法は様々なようです。

ただし、朝と夕のように間隔をあけても副作用が減ったり治療効果に影響が出ることはないという報告もあるため、必ずしも間隔をあける必要があるわけではありませんが、個々の状態に合わせて服用方法を考えていく必要があります。

抗ヒスタミン薬など抗アレルギー薬との併用に関して

結果から言うと抗ヒスタミン薬などの抗アレルギー薬との併用はできます。最初は併用し、症状の改善とともに減量できるものから減量、中止していくことになるケースも多いです。

ただ、ステロイドが含まれている内服薬は免疫反応を抑え、舌下免疫療法の効果を弱めてしまうため併用は勧められません。症状が強いときの頓用にとどめておいた方が良いでしょう。

ステロイドを含む外用薬(点鼻・点眼薬など)は特に問題なく併用できます。

副作用について

口腔浮腫、口腔掻痒感、口腔内不快感、口の錯覚感などの口腔内症状、咽喉刺激感、咽頭不快感など喉付近の症状、耳の掻痒感などが主な副作用であり、口内炎や咽頭痛、腹部不快感などもよく見受けられる副作用です。口腔内の副作用がとても多いです。ただ、これらの副作用は4週間以内に認められることが多く、薬剤になれることで少なくなっていきます。

症状がつらい時は医師に相談しましょう。

作用機序

アレルゲン免疫療法の効果発現メカニズムは十分に解明されていません。

アレルギー反応は体の中に取り込まれたアレルゲンが抗原提示細胞に捕捉され、結果的にTh2細胞の分化・増殖に加え、炎症細胞の活性化等により引き起こされます。

舌下免疫療法では薬剤(抗原)が口腔粘膜下の樹状細胞といわれる抗原提示細胞に捕捉され、結果として制御性T細胞(Treg)の誘導及びTh1細胞の増加、Th2細胞増加の抑制、抗原特異的IgGやIgAの増加によりアレルギー反応を抑制すると推測されています。

あとがき

最後までお読みいただきありがとうございました。主に薬の使い方や注意点を解説させていただきましたがいかがでしたか?舌下錠が2種類以上処方されているときの服用法は医師により考え方が違うかもしれないので念のため確認してみたほうがよいでしょう。日々のお悩みの役に立てば幸いです。